瘀血にはこの中成薬

「瘀血(おけつ)」という漢方用語は、日本に浸透しつつあるようですね。簡単にいうと「ドロドロ血」という意味ですが、ほとんどは二次的に起きる病理産物と言われています。「血」が少ないために血流量が少なくて流れない、「血」は「気」の推動作用によって全身を巡りますが「気」が少ない「気」が滞るといったことで巡れなくなる、「血」自体に熱をもつことで濃縮されてドロドロになるなど原因は様々です。

今回ご紹介する”血府逐瘀丸”は、「血」が少なく「気」が滞ることによって「瘀血」になるタイプに勧めています。もう少し細かく言うと、構成生薬の中にジオウが入っていますが、エキス剤に含まれるジオウには乾地黄と熟地黄があります。熟地黄の気味は「甘・微温」で、乾地黄は「甘苦・寒」と『中薬学』に書かれている通り、体質の寒熱によって選びます。血府逐瘀丸は乾地黄で構成されている為、疲労から来るほてりが体内にある方にお勧めしています。

子宝相談といえば「冷え症」はほとんどの方が訴えています。しかし、お風呂に入るとのぼせやすい方、皮膚病を兼ねている方、不眠症がある方など、「かくれ血熱証」「かくれ陰虚証」と体内に虚熱を持ち合わせている女性が多く見受けられます。そのため当店では子宝相談や婦人病の方の半分以上の方にこの血府逐瘀丸を勧めています。

実は私も愛飲者の一人で、冬の寒い時は冠元顆粒、その他は血府逐瘀丸にしています。愛飲歴は長いのですが、この頃、他の漢方薬を飲んでいたためにしばらく休薬していたのですが、左脇下に突然イボができました。脇はリンパ腺が通っているのであまり良い場所ではないと思い3ヶ月ほど悩んでました。イボの色はくすんだ紅色を呈し、如何にも「瘀血色」です。そこで一緒に休薬していた補腎薬と合わせて血府逐瘀丸を服用した所、2日後には認識できるほどに小さくなって痛みも消え、ホッとしていると数日後には消失していました。

今回の一件で、私には血府逐瘀丸(+補腎薬)が必要だと再認識しました。悪い体質の代表が「瘀血」だと思いますが、まさにサイレントキラーではないでしょうか。私自身、イボの消失でとても安堵しています。