無月経と漢方

「生理が半年来ない…」「病院ではホルモン補充しかないと言われる」

これまで様々な無月経のお客様がご来店されました。お一人お一人原因が違うため、とても大変な漢方相談になります。体内でどのようなことが起こって無月経になっているのかがつかめると、意外なほどに高温期が訪れ、やがて月経が開始されます。しかし、体質が複雑で生活スタイルが乱れがちだとなかなか漢方薬もかみ合ってくれません。この強敵な無月経に対抗するには、漢方薬を服用するだけでなく、お客様の健康に対する向上心が必要です。自分と向き合う良いきっかけにもなりますので、前向きな方はどうぞご相談ください。

※原発性無月経は難しいと言われています。

漢方の病名

① 肝気鬱結:「肝気」の流れが滞ることで排卵障害を起こします。陰陽五行説では「肝」の「五志」は「怒」とあるように、「肝気」が滞るとイライラしやすく気が滅入るといった傾向が出るため、PMS(月経前症候群)を伴う方が多いと言われています。日頃から緊張感が強く、厳しい環境下で生活さえていると陥りやすい病いです。「肝気鬱結」が起こる原因は「肝血虚」と言われています。同時に「補陰血」していくことが肝要です。

② 瘀血:いわゆるドロドロ血です。毛細血管の流れが悪くなることで、子宮周辺の器官の機能低下を起こします。この瘀血には「気滞血瘀、血虚血瘀、気虚血瘀、陰虚血瘀、陽虚血瘀etc」と種類があります。これも漢方相談からどんな瘀血体質なのか見ていきます。

③ 痰飲:ドロドロ血ならぬ、ドロドロ水です。見た目で表現すると鼻水やセキの時にでる痰(たん)のようなものが体内にたまり流れを妨げます。基本的に虚証と言って、消化器の弱さから飲食物がしっかり消化されず、この「痰飲」が生まれるタイプが多いです。また食べ過ぎたり、味の濃い物や脂の多い食べ物を好んで食べる実証の方は1ランク上の「湿熱」が形成され、頑固な排卵障害を起こす方もおります。

④ 痰瘀互結:当店の無月経で一番多いタイプがこれです。これは②と③が結ばれて起こる最強の邪になります。体内には「気・血・水」の3つが流れていると考えられています。そのうち「血・水」は液体同士なので、混ざり合い鎖のようにからだの流れを縛ってしまいます(あくまでイメージです)。この場合は、漢方薬の合わせ技が功を奏します。

この病名以外にも様々な邪や虚を伴って、排卵がスムーズにできなくなります。ご自身の生き方や好きな食べ物を変えていくには大変ですが、体力がついてくると無理なくできる方がいることも確かです。最近、5歳の少女が身体をよくするため大好きな飲み物を止めて、健康を手にしました。これは最近のことですが、お母さんが「自分で理解したみたいです」と話してくれました。無月経はなかなか頑固ですが、漢方薬を半年、一年間と決めていっしょに頑張ってみませんか。