女性のバイオリズムに合わせた漢方薬「月経周期法」

「月経周期法」とは、西洋医学の妊娠のメカニズムと、漢方(東洋医学)の考え方をドッキングさせた月経調整法です。基礎体温を参考にしながら、それぞれの周期(月経期・卵胞期~排卵期・黄体期)によって異なるホルモン分泌やからだの状態を、漢方薬を飲み分けることによって整えていきます。月経や精神状態と関係が深い「気」と、女性ホルモンと深いかかわりがある「血」の機能やめぐりを正常に戻し、生殖能力の源である「腎」の力を高める方法です。
飲み分け方はその方の中医学から見た体質、症状によって服用していただく漢方薬、生薬は変わってきます。しかし、子宮のエネルギー源となるものはだいたい決まった処方になります。
子宮の状態は合った漢方薬を服用したからといって、初回の月経周期から急によくなる訳ではなく、毎回毎回次の周期に良い影響を与えるために服用していきます。
言い換えればひとつの周期を治療することによって、次の周期を育てていくといった感じです。その為、妊娠の可能性の低い高温期には飲んでも無駄と考えるのではなく、次の低温期により安定した内分泌が起こるようしっかり服用していただきます。

基礎体温表(BBT)

右側の図のように約28日前後で循環していくものが一般的です。月経周期は排卵期を境に前半の卵胞期と後半の黄体期の二期に大別されます。正常な基礎体温表は低温期と高温期が0.3~0.5℃の差がある二相性を表し、低温期から高温期へスムーズに移行(3日以内)し、高温期が12日以上持続していることが理想です。

AMH(アンチミュラリアンホルモン)

AMHとは、発育過程にある卵胞から分泌されるホルモンで、女性の卵巣予備機能を知る指標になると考えられます。
女性の卵巣の中には、生まれつき沢山の原始卵胞があり、初潮を迎える頃より原始卵胞が活発化し、発育卵胞 → 前胞状卵胞 → 胞状卵胞 → 熟成卵胞 と成熟し、約190日かかって排卵します。
AMHは前胞状卵胞から分泌され、その測定値と発育卵胞の数は互いに影響しあいます。このためAMH濃度を測定することによって残存する卵胞の数を測定し、卵巣予備能を知ることができます。今現在で最も早く正確に卵巣予備機能の低下を感知できる検査と言われています。
 発育卵胞の数は25~30才をピークに徐々に減少し、これに伴ってAMH濃度も減少します。

補腎薬の必要性

東洋医学でいう腎とは、生命を支えるものであり、とても重要な臓器です。気血津液の生成に関わり、子宮・気血をもたらす衝任脈との間に巧妙なシステムが働き、相互にバランスを保ちながら生理・妊娠などを調節しています。腎の働きは陰陽に分かれ、腎陰虚証では子宮・腎などの発育が悪くなり、腎陽虚証では子宮・腎などが冷えて生殖機能が低下すると言われています。このように腎とは生命にとって重要な臓器として考えられています。この陰と陽のどちらが弱っているかを弁証し、その不足を補っていくことが不妊症にとって重要なポイントと考えます。特に卵巣年齢が進んでしまった場合には、早い段階で補腎していくことが肝要です。
 卵巣内では、原始卵胞から前胞状卵胞になるまで3ヶ月以上かけてゆっくりと育ちます。そして前胞状卵胞から初期胞状卵胞までは約25日かかります。これはFSH(卵胞刺激ホルモン)と関係なく育つため、補腎薬の良い影響は最低でも4ヶ月以上継続してこそ発揮されると考えられます。

子宝相談詳細

黄体機能不全

基礎体温表を3周期分つけ、いずれの高温期間も12日未満の場合をいいます。もう少し詳しく言うと、黄体からのエストロゲンとプロゲステロンの分泌不全により、子宮内膜の分泌変化が少ないものや、子宮内膜がホルモンに適切に反応せず、内膜の厚さが10mmに満たないものを言います。排卵は起こりますが、月経不順、着床障害、流産などの可能性が上がります。

併発しやすい症状
子宮内膜症、子宮筋腫、高プロラクチン血症、黄体化未破裂卵胞症候群(LUF)を併発する場合があります。基本的にホルモンバランスを失っているのですから多くの併発の可能性が秘められています。

原因を中医学的に捉えると
一般的には腎陽不足と言えます。根本的に身体を温める、躍動的にする、燃焼するといった力が不足していることです。その他にも肝腎不足、陰虚火旺、心肝鬱火、湿盛、瘀血等が挙げられ、的を絞るにはやはり弁証論治にかかってきます。

高プロラクチン血症

高プロラクチン血症とは
プロラクチンは脳下垂体から分泌されるホルモンです。正常値としては血中に15ng/mL以下となります。妊娠するとこのプロラクチンがたくさん分泌されて中枢から卵巣までの性腺軸が抑制されて乳汁分泌を促します。ここまでは正常な働きなのですが、妊娠していないのにもかかわらず血中に30ng/mL以上分泌し、これが卵胞の発育や排卵が阻害されて黄体機能低下を起こしてしまう場合があります。これを高プロラクチン血症といいます。

併発しやすい症状

卵巣内で卵胞がたくさん育ってしまう多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と同時に発送されるケースが良く見られます。併発ではありませんが、血中に80~100ng/mL以上分泌されるとプロラクチノーマと言って下垂体腺腫の可能性があります。

原因を中医学的に捉えると

症状としては排卵障害、イライラ、肩凝り、経前に乳張痛、乳が漏れる、基礎体温表がギザギザと不安定になるなどがあり、これを漢方では「気滞」と捉えます。そのため基本病理として「肝気鬱結」、「陽虚肝鬱」、「肝血虚」、「気血両虚」、「気滞血瘀」などがあります。

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)

多嚢胞性卵巣症候群とは
多嚢胞性卵巣症候群は、排卵障害の原因の一つです。両側卵巣に未熟な卵胞がたくさんでき、ネックレス状につながった嚢胞状腫大を特長とする症候群です。BBT(基礎体温表)ではほとんどの方が二層に分かれていますが、高温期への上昇が緩やかで3日以上かかり、月経周期は徐々に遅れがちになって稀発月経へと移行していきます。また、BBTが一層性で、無月経の方もおります。このPCOSは子宮へのエストロゲンの過剰刺激が問題となるため、妊娠だけでなく後にはまれに子宮体癌の可能性も出てくるのでホルモンバランスをとっていくことが肝腎です。

難治なPCOS
先ず始めに知っておいて頂きたいのが難しい病気ということです。婦人科の治療でもお分かりの通り、排卵促進剤→hMGの治療で調整をきかさないと卵巣が腫れてしまう卵巣過剰刺激症候群(OHSS)にもなりかねません。その他、外科治療、糖尿病薬などの療法もあります。

しかし、婦人科の医師も言いますが排卵さえ起これば妊娠の可能性が高いことも知られています。PCOSは卵巣の殻が硬くなり、外に飛び出せないでいる(排卵)ので排卵障害となります。

主な原因
PCOSの原因は残念ながら不明ですが、脳下垂体からのLH(黄体刺激ホルモン)の過剰分泌が卵巣に影響し、男性ホルモンを多く分泌させることがあります。典型的なPCOSの症状に多毛、にきびがあるのはこの為だと思われます。その他、血糖値、高血圧とも関係があり肥満タイプが多いことも頷けます。しかし、実際来られるお客さんはさまざまで、この三つにまったく当てはまらない細い方もいらっしゃいますので一概にはいえませんね。

私どもは体重の急激な変化(過激なダイエット、リバウンド)が影響し、ここ数年でPCOSの発症率が高くなっているのではないかと考えます。これからはダイエット方法も慎重に選び、「試しに・・・」ではなく本気で取り組でもらわないといけないと思います。

原因を中医学的に捉えると
基本的にお客様一人一人に対して必要な漢方薬を処方していきます。病因は「余計な湿気」、「子宮の微細循環の悪さ」「ストレスによる気の滞り」が体の表面を覆っています。しかし、これらは体のどこかに「虚」の部分がなければ入ってきません。そのため虚実錯雑(体の疲労した部分.に余計なものが溜まる)として考え周期があれば必要な部分に漢方薬を効率よく入れていきます。

前述のようにPCOSは難治です。今後、子宮にエストロゲンの過剰な刺激がつづけば婦人科疾患は幅広く考えられます。

このように詳しくPCOSの掲載しているからか、ここ数年でPCOSの方が多くなりました。子宝相談のカギはお互いがどれだけ心を開くかだと思います。難治なだけにしつこく相談していきましょう。

習慣性流産・不育症

習慣性流産とは
まず、不育症ですが、これは流産を広義的に捉えたものです。流産、早産、死産を含み、続けて流産を2回した場合も不育症といいます。習慣性流産とは、3回以上流産を繰り返した場合になります。その原因は50%以上原因不明と言われています。

最終月経の初日から数えて12週までは早期流産、22週までを後期流産、37週までを早産、42週までを正期産、それ以降を過期産といいます。

流産の問題点
早期流産では、①胎児に問題、②染色体異常、③母親、または父親に問題、④両親ともに問題など挙げられます。後期流産では母体に原因の可能性があるとされ、早産では胎児は母体外でも生存可能です。

原因を中医学的に捉えると
中医学で考える妊娠維持とは、胎児を大切に育む「気」の力と、栄養を豊富に運んでくれる「血」の力が必須と考えます。

当店に来られる習慣性流産の方々は、「まずなによりもこの身体を元気にしたい!」と訴える方が大半を占めます。妊娠どころではなく、仕事や育児すら身体が参っていてこなせない状況なのです。人間界でなく、自然界では強いものしか生き残れません。まずはお母さんとなるあなたの身体から改善することです。これが妊娠維持につながると考えます。