季節の移り変わりによって、子どもの心と体に関する悩みが増え、なかでも思春期を迎える子どもたちが苦しんでいるのが「起立性調節障害」です。10年以上前からこのご相談はありますが、増加傾向にあります。西洋医学では非薬物療法もありますが、血圧を上げることで対処しています。

~・現代医療では・~

起立した時の血流量を調節する機能がうまくいかず、足の静脈の収縮ができないことで血の巡りが悪くなり、頭への血流が減少すると、立ちくらみや吐き気、めまい、目の前が暗くなる、失神などを起こします。

午前中に強いダルさや頭痛・腹痛、動悸、集中力の低下、長時間同じ姿勢を続ける時のふらつきもみられます。季節の変わり目や梅雨などの天候不順によっても症状が悪化しやすい。

日本小児心身医学会 の「小児起立性調節障害診断・治療ガイドライン」では4つに分類されます。

  • 起立直後に低血圧となり、元の血圧に回復するのに時間がかかる起立直後性低血圧
  • 血圧低下なしに明らかな頻脈が起こる体位性頻脈症候群(POTS)
  • 起立中に頻脈、突然血圧低下と失神を起こす迷走神経性失神
  • 起立後、徐々に血圧が低下する遷延性起立性低血圧

治療方針

  • 病気の理解と生活習慣

・症状のメカニズム、悪化因子、好ましい生活態度を指導する。

・血圧は昼夜逆転の影響を受けるため、入眠と起床のリズムを崩さない。

・症状があっても、できることを増やし、ネガティブな考え方を変えることで、ストレスとの上手な付き合い方を得てもらう。

  • 水分や塩分をとる

水分摂取の目標 1.5~2L

  • 運動

起立耐性の維持には、抗重力運動が重要であり、身体不活動により起立耐性が低下する。運動を根気よく続けることが大切です。

  • 日常生活の工夫

・着圧ソックス:足に血液が溜まることを予防

・起立前に手を握る動作をくりかえす

・前傾姿勢でゆっくり起立する

  • 薬物療法

第一選択薬:ミドドリン錠

昇圧薬 交感神経の活動を活発にし血圧を上げることで低血圧症によるふらつき、めまいなどの症状を改善する薬

参考(「今日の治療指針 2023 私はこう治療している」総編集:福井次矢、高木誠、小室一成)

~・漢方の考え・~

お客様の症状を聞くと、朝が起きられずギリギリまで寝ている、何とか車で送っていくが、授業を受けているのが苦痛になり早退する。という声が共通しています。文化部ですが、午後になれば出席できるという方もおりました。そして悪化条件は季節の変わり目や雨の降る前など気象条件も良く聞かれますし、部長を任せられ重圧がきっかけとなったというケースもあります。

これはテンションが上がらないから起きられないと置き換えれば、体内の活動性を上げることができたなら、本来のご自身に戻れるのではないでしょうか。

このテンションとかかわりがある漢方用語が「気」の力です。とても大切な要素で行動や性格まで影響するエネルギーになります。

大まかな「気」の病

気の滞り(気滞):「初病は気にあり」という言葉が臨床家の中で言われています。

「気」は全身をめぐっているので、体内のどの部分・五臓六腑・経絡(つぼ)に症状が起こっても、まず「気」のめぐりが障害されて「気滞」という病的状態が発生します。

【気滞を起こす原因】

・精神情緒の抑うつ(気分が落ち込んで何もする気がしない状態)

・飲食の失調(食欲を調節する機能を失う)

・自然環境の影響(寒さ・暑さ・風・湿度が身体に及ぼす)

・外傷

その他多くの原因が「気」のめぐりに悪い影響を及ぼして「気滞」を発生させます。

次の「気虚」に関わることですが、「気」のめぐりが無力(体力低下)な場合でも気滞が起こります。精神情緒、言い換えるとストレスに関連して起こる「気滞」を「肝気鬱結(かんきうっけつ)」といいますが、他人への察しを重んじる日本人が多く起こる病態です。

気の不足(気虚):

主に元気不足・内臓機能の低下・外的要因(細菌など)に対する抵抗力が起こります。

【主な症状】

・倦怠無力感

・声に力がない

・息切れ

・汗をかく

【原因】

・出血後、大病後

・冷えたものの飲食

・よく寝ている、座りっぱなし

・生活リズムの乱れ

・考えすぎる

消化器は「脾胃」と呼ばれ、「脾は後天の源」「気の源」と言われています。この「脾胃」に負担を掛けることで「気虚」が発生します。「主な症状」に書かれているように、血圧が上がらない状況がやってきます。

陽気の不足(陽虚):

「気虚」を放置しておくと、「陽虚」を発生させます。

【主な症状】

・汗がでて皮膚が冷たく

・無欲状(興味がない)

・著しい場合には意識がもうろうとする

・全体的にからだが温まらない

・むくみやすい

☆他にも「血」「陰」に関わることもあるので、体質の見分けが必要です。